3.遺産をどう分けるか決める&税金の手続

  • 相続人全員で話し合う(遺産分割協議)
  • 準確定申告・所得税などの納税(4か月以内)
  • 相続税の申告・納税(10か月以内)

・相続税の申告をする必要のある人

相続財産の価額が、3,000万+(法定相続人の数×600万)を超える相続の場合、申告します。

(平成27年1月1日以後に開始した相続の場合)

例えば、相続人が配偶者と子供2人の計3人の場合は、

3,000+(3×600)=4,800万円 を超える相続財産がある場合に申告する必要があります。

・各種の控除(後述)を利用して最終的な納税額が0の場合でも、上記に該当するなら申告する必要があります。

・日本全国で、全相続の8%程で相続税の申告義務が発生しています(国税庁)。

・相続人が「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」​に申告しなくてはいけません。

​相続税の申告は、基本的に税理士に依頼することとなります。

自分で申告する場合は税務署の相談を利用し、時間をかけて申告書を作成します。

参考:「平成28年分の相続税の申告状況について」(https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/sozoku_shinkoku/index.htm

・相続税額算出の流れ

1 相続税の課税対象になる財産(課税財産)を洗い出します

​2 課税財産を金銭で評価します(課税価格の算出)←ここで各種の特例あり(ここ参照

​3 課税価格から、債務の額と基礎控除の額等を控除します(課税遺産総額の算出)

4 課税遺産総額を「法定相続分」で各相続人に按分し、速算表を使い各相続人の相続税額を

  一時的にだします

​5 4でだした各相続人の相続税額を合計し、「相続税の総額」を算出します

​6 「相続税の総額」を実際に各相続人が相続した割合で按分し、各相続人の最終的な相続税額

  を算出します←ここで各種の軽減あり(ここ参照

参考:「相続税のあらまし」(https://www.nta.go.jp/souzoku-tokushu/souzoku-aramashih27.pdf

・課税財産を金銭で評価する時に使う特例

遺産分割をする時の指針になるものを紹介します。

<小規模宅地の特例>

被相続人が自宅として使用していた宅地、事業に使っていた宅地について、一定の遺産分割などをした場合に、限度面積までの部分の課税価格を減額する制度。被相続人が自宅として使用していた土地を例にとると、330㎡までの土地につき80%減額されます。

一定の遺産分割などをした場合とは、次の場合です(自宅を例にします)。

被相続人が自宅として使用していた宅地 を 

①配偶者が取得した場合

②被相続人と同居していた親族が取得し、その他の要件*1を満たした場合

③被相続人と同居していない親族が取得し、その他の要件*2を満たした場合

被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地 を 

④被相続人と生計を一にしていた親族が取得し、その他の要件*3を満たした場合 です。

*1 相続税の申告期限まで、居住、保有を継続することです

*2 ⅰ被相続人に配偶者がいない ⅱ被相続人と同居の親族がいない ⅲ相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと です

*3 相続税の申告期限まで、居住、保有を継続することです

このように、遺産分割が前提となる特例なので、この特例を使用する時は、10か月の申告期限までに遺産分割を済ませなくてはなりません。間に合わない場合は、一旦特例を利用しないで算出した相続税の申告&納税をし、3年以内に、あらためて特例を利用した結果を申告します。3年を過ぎるとこの特例は利用できなくなります。

参考:「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4124.htm

・最終税額を算定する時に適用される軽減

​<配偶者の税額の軽減>

配偶者が取得した正味の財産額が、次の金額のどちらか多い金額までは相続税はかからないという制度です。

・1億6,000万円

・配偶者の法定相続分相当額

遺産分割する際に、節税の観点を重視するなら、配偶者が亡くなった時のことも考えて、2回の相続税額の総計をシミュレーションして遺産分割の内容を決定します。

この制度も、遺産分割が前提となる制度なので、この制度を使用する時は、10か月の申告期限までに遺産分割を済ませなくてはなりません。間に合わない場合以下は、小規模宅地の特例の場合と同じです。

<その他の軽減>

・未成年者控除

・障害者控除

・相次相続控除…10年以内に相次いで相続税の申告ある相続が起こった時のための控除

・贈与税額控除…すでに贈与税を生前に払っている贈与物がみなし相続財産として課税財産に算

        入された時に支払った贈与税の分を控除する制度

・相続時精算課税制度贈与税額の控除…相続時精算課税制度を利用した贈与の際に支払っている

        贈与税を控除する制度 など

参考:「相続税の計算と税額控除」(https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/souzo32.htm